まもりさん
ご高齢者には巻き爪意外と多いですね
そうなんです。
とくに糖尿病や血流が悪い患者さんでは要注意だね
医師でなくても対応できる方法はありますか?
実は巻き爪対策のほとんどは医師である必要はないので、是非積極的に習得すると、患者さんに大いに貢献できますよ!
目次
巻き爪治療って必要なの?
高齢者に関わらず、爪が巻いている方はとても多いです。
そして、多くの方は特に症状もなく、日常生活には支障がありません。
そのため、巻き爪すべてが対策を必要とするわけではありません。
巻き爪治療を行うかには2つのポイントを押さえておく必要があります。
これらにあてはまる方は治療を検討する必要があります。 ただ、巻き爪の治療法は患者数も多いだけに数多く存在します。 今回は医師でなくても行うことができて、個人的にも有効性が高いと実感している、代表的な治療法3選を取り上げ、どのように使い分けて、治療すればよいのかお話ししたいと思います。
最適な巻き爪治療を行うためのポイント
では、実際の治療法に移る前に、どの治療法が最適かを考えるうえで把握すべきポイントについてお話しします。
といいますのも、様々な巻き爪対策グッズが通販などで入手可能ですが、巻き爪の状態に合ったグッズを選ばないと、高い効果は期待できなかったりします。巻き爪対策グッズは決して安くはないので、どの治療法がどのような巻き爪に合っているのか、コストパフォーマンスはよいか、など検討したうえで、患者さんに十分に説明しておく必要があります。
巻き爪治療を行う上でのポイント
①巻き爪の巻きの程度
②爪に厚みがあるか?(鑷子などで簡単に爪が変形するか)
③定期的な通院が可能か?(1~2か月に1回の通院が必要なケースが多いです。通院不要の治療もあります)
④(保険適応がないため)ある程度の支出を許容できるか?
これらのポイントをふまえて、ここからは実際の治療法についてお話しします。
治療法 その1 綿球法
綿球法はアルコール綿球などを食い込んでいる爪と皮膚の間に入れて、爪が皮膚に食い込むのを緩和する方法です。
では、この綿球法にはどのようなメリットデメリットがあるのか以下にお示しします。
綿球法のメリット
・特別な医療機器を必要としない
・医師でなくとも行えて比較的短時間かつ簡便に説述できる
・外れても簡単に再度施術を行える
綿球法のデメリット
・巻き爪自体を矯正することは難しい(痛み改善の意味合いが強い)
・綿球を入れる場所や綿球の量によっては痛みが改善しないことがある
・厚い爪や巻きが強い爪では効果が弱い
・綿球挿入時~入れてしばらく痛みがある
・傷がある場合は感染のリスクがある(特に糖尿病など免疫力が低下している場合)
・綿球を入れすぎると圧迫で傷ができることがある(特に下肢の血流が悪い方は要注意)
では、実際にどのように施術するのか動画でみてみましょう。
このように比較的簡単に短時間で施術できるのが綿球法の最大のメリットですが、感染などのリスクもあり、押さえるべきポイントがありますので説明します。
綿球法施術のポイント
・皮膚を圧迫している巻き爪の端と皮膚の間に綿を入れる(あくまで巻き爪を改善というよりは食い込んでいる爪と皮膚の間にクッションを作るイメージ)
・綿球を奥に入れすぎない(挿入~挿入後の痛みが強く、さらに傷ができたり感染を生じるリスクもある)
・大量には入れすぎない(血流が悪かったり、免疫力が低いと感染を生じたり、治りにくい傷ができる可能性がある)
綿球法は綿球を入れる場所や入れる量を誤ると、痛みが軽減しないうえに、感染や皮膚潰瘍の原因ともなるため注意が必要です。 以上の内容を踏まえると、綿球法の適応は以下のようなケースだと思います。
綿球法の良い適応
・爪に厚みがない軽度の巻き爪
・爪の先端にそれほど多くない綿球を入れるだけで痛みの改善が期待できる
・免疫低下や血流障害がない
まとめますと、綿球法は特別な医療機器も要らずに施術できますが、爪の状態や全身状態で適応はある程度限定される治療法と考えられます。
治療法 その2 巻き爪クリップ
次に巻き爪クリップについてお話しします。
巻き爪クリップとは下の写真中央のような、形状記憶合金でできた板に爪をひっかけるフックがついています。右の写真のように巻いた爪にフックを引っかけることで、形状記憶合金の真っすぐに戻る力を利用して巻き爪を矯正する医療機器です。
大手の通信販売で4,000円弱で購入することができます。決して安くはありませんので、爪の幅に応じて、S(14.5mm)、M(16.5mm)、L(18.5mm)の3種類があり、購入前に爪の幅を確認して合うものを選ぶことも大切です。
侵襲がほとんどないため、医療従事者でなくとも使用することができます。
まずは巻き爪クリップにはどのようなメリットデメリットがあるのか説明します。
巻き爪クリップのメリット
・使用法が簡便で医療従事者でなくとも着脱できる
・装着時の痛みなどはほとんどない(爪がある程度伸びていれば)
・同じものを使用し続けられるため、長期的にみて金銭的負担が少ない
巻き爪クリップのデメリット
・巻き爪の強制力はそれほど強くない
・爪が短いとフックが引っかからず装着できない
・S/M/Lと3つのサイズはあるが足の親指以外の爪ではサイズが合わず適応にならないことが多い
・外れやすく無くしやすい
では、実際の巻き爪クリップの装着法について動画でみてみましょう。
このように、施術はそれほど難しくなく、侵襲もないため医療従事者でなくとも安心して行えます。 ただ、適切に装着しないと巻き爪が十分には改善しませんので、クリップ装着のポイントを示します。
巻き爪クリップ施術のポイント
・フックが引っ掛かる程度に爪を伸ばす
・(施術の前に)爪の幅に合った巻き爪クリップを選ぶ
・フックを爪の幅に合わせて広げる(厚い爪の場合ある程度フックを広げないと引っかからない)
・始めに巻きが強く改善したい側からフックをひっかける(両端に2か所ずつフックがあるので2か所とも引っかかっていることを確認する)
・引っかけた方を抑えながら反対側もフックも挿入する
・そのままでは、外れやすいのでテープで固定する
以上の内容を踏まえると、綿球法の適応は以下のようなケースだと思います。
巻き爪クリップの良い適応
・足の親指の巻き爪
・爪の厚みがそれほどなく、巻きも中等度まで
・巻き爪を治すというよりは痛みが改善すればよい
・あまりお金をかけたくない
巻き爪の矯正法には、次にお話しします巻き爪マイスターや、従来から行われていたワイヤー法などさらに強力に巻き爪を改善する方法もあります。ただ、これらは医療機関でないと行えないうえに定期的に施術代がかかるため、金銭的にも時間的にも負担が大きいです。
さらに、巻き爪の再発率は高いため、一度矯正しても再度巻き爪になってしまうこともまれではありません。
そのため、安価で手軽に始められるうえに、長期間使用可能な巻き爪クリップなどの医療機器は巻き爪治療では欠かすことのできない治療法だと考えています。
治療法 その3 巻き爪マイスター
では、最後の巻き爪治療法は巻き爪マイスターです。 巻き爪マイスターは下写真のようにサイドに爪に引っかけるフックがあり、コイルばねでできた胴体の中に形状記憶合金のワイヤーが入っています。フックを爪の際に引っかけ、ワイヤーがまっすぐに戻ろうとする力を利用して巻き爪を矯正していきます。
では、次に巻き爪マイスターの特徴について説明します。
巻き爪マイスターのメリット
・前述の2つの治療と比べて矯正力が高い(多少厚みがあり巻きが強い(中程度レベル)爪でも改善が期待できる)
・爪によっては爪が伸びたらフックを奥にずらすことで、長期間の使用が可能
・コツを覚えれば、それほど施術は難しくない
・基本的に定期的な交換は不要(爪が伸びたらフックを爪の根元に向けて押し込む)
巻き爪マイスターのデメリット
・爪がある程度伸びていないと装着できない
・医療従事者でないと施術できない
・爪の辺縁が欠けるなどすると、爪が伸びた際に、フックを押し込めなくなり、新たな巻き爪マイスターと交換が必要になり、施術代がかかる(保険適応外のため全額自費でおおよその目安は8,000~1,5000円)
・巻きが強かったり、爪に厚みがあると装着が難しいことがある
このように巻き爪マイスターは、施術に前の2つよりやや煩雑な反面、強制力が高いのが特徴です。
では、実際の施術法について、巻き爪マイスターを提供しているマルホ(株)のホームページから施術方法を確認してください。
巻き爪マイスターの施術動画はこちら
このように中等度の巻き爪までであれば、比較的装着は難しくないことが多いです。
巻き爪マイスター施術のポイント
・爪の幅を計測し、適した巻き爪マイスターを選ぶ
・爪の下に角質などが貯留している場合は除去する
・巻きが強い側からフックを引っかける
・反対側の爪側縁にフックを引っかける際に、マイスターを伸ばしすぎない(破損の原因となる)
・装着したら、医療用テープなどで固定する
以上の内容を踏まえると、綿球法の適応は以下のようなケースだと思います。
巻き爪マイスターの良い適応
・巻きが強い・爪に厚みがある、などで綿球法や巻き爪クリップでの矯正が難しい場合(ただ、爪の巻きや厚みが非常に強い場合はマイスターの装着が難しく、装着できても十分な矯正が難しい可能性があります)
まとめ
このように、巻き爪の部位・巻きの強さ、爪の厚み、費用対効果、などを考慮して適切な巻き爪治療を選ぶことが大切です。
巻き爪治療選びのポイントまとめ
1爪に厚みがなく、巻きも軽度:綿球法
2爪に厚みがなく、巻きは中等度まで:巻き爪クリップ
3爪に厚みが多少あり、巻きは中等度まで:巻き爪マイスター