
巻き爪治療は医師でなくてもできましたが、陥入爪の治療はどうですか?



陥入爪は爪が皮膚に食い込んでいて、治療には局所麻酔が必要なことも多いので基本的に医師が行う治療が多いですね



でも、軽い陥入爪なら医師でなくても行えるものもありますよ!



ほんとですか?是非、教えてください!
みなさん、巻き爪と陥入爪の違いを覚えているでしょうか?
巻き爪は単に爪が巻いている状態、深爪しているかどうかは関係ありません。
一方で、陥入爪は爪の外側を深爪して棘状になった爪が皮膚に食い込んだ状態です。


目次
陥入爪治療のポイント
では、このように爪が棘状になり皮膚が食い込んだ状態をどのように対策すればよいでしょうか? そのためには、以下の2つのポイントを抑える必要があると考えています。
1 棘状になった爪が皮膚に食い込まないようにする
2 爪が食い込み盛り上がった皮膚を平坦化する
そのため、時に陥入爪の患者さんにゲンタシン軟膏など抗生剤含有軟膏のみで治療が行われ、治らない患者さんを目にしますが、塗り薬では上記2つのポイントのどちらにも効果がないので治らないのです。ちなみに、陥入爪における発赤は細菌感染によるものもありますが、刺さった爪の刺激による炎症であることが多く、その意味でも抗生剤の塗り薬による治療は得策ではないと思われます。
では、どのように対策すれば、この2つのポイントを押さえた治療ができるか、お話ししていきます。
おすすめ陥入爪治療 3選
では、今回の本題です。
今回3つの治療法を取り上げていますが、それぞれ、陥入爪の深さや程度、皮膚の盛り上がり具合などによって、使い分ける必要があると考えています。
それぞれの治療の長短やどのように使い分ければよいか、意識しながら参考にしてください。
※ ①以外は局所麻酔が必要な外科的治療になるため、医師以外は行えないことにご注意ください。
1,陥入爪のおすすめ治療① 綿球法 and/or テーピング法
陥入爪のおすすめ治療の一つ目は、綿球法とテーピング法の2つの治療を組み合わせる方法です。 では、それぞれの治療法とどのように組み合わせればよいのか、などについてお話しします。


始めに綿球法についてですが、こちらは前回のおすすめ巻き爪治療法でもお話ししましたので、詳しくはそちらをご参照ください。簡単に言えば、ちぎったアル綿を刺さっている爪と皮膚の間にクッションのように入れる治療法です。
比較的爪の先端で生じた陥入爪において、皮膚に食い込んだ爪と皮膚の間に綿球を入れることで、爪の刺さりを回避できます。
一方でテーピング法は、伸縮性のあるテープで爪の際の盛り上がった皮膚を押し下げる方法です。


爪のサイドの盛り上がった皮膚をテーピングテープで押し下げることで、爪を刺さりにくくします。実際、爪が刺さっている場合だけではなく、深爪をしてしまい伸びた爪が刺さりそうな場合に予防として行うこともあります。
テーピングには以下のようなメリット・デメリットがあります。
メリット
・医師でなくても行うことができる
・テーピングテープを貼るだけの処置で簡便
・週1~2回ほどの交換でよい
デメリット
・テープが剥がれやすい
・矯正力は弱い
これらのメリット・デメリットをふまえ、実際の施術をみてみましょう。
動画だけ見ると簡単そうですが、しっかり結果を出そうとすると若干コツがいります。動画内容のポイントは以下のようになります。
施術のポイント
1 テーピングテープだけで引っ張るとはがれやすいため、始めに固定用のテープを刺さっている爪の際の盛り上がった皮膚に貼る
2 その固定用テープにテーピングテープを貼り、片方の指でテーピングテープを貼った固定用テープを足底側に抑え込んで、盛り上がった皮膚を押し下げる
3 テーピングテープを引っ張って伸ばしながららせん状に指のつけ根に向かって巻く
意外とコツがいりますので、自分の足などで練習するとよいかと思います。 では、これら綿球法とテーピング法の適応と、これらをどのように組み合わせればよいのかお話しします。
綿球法and/orテーピング法のよい適応
①綿球法のよい適応
棘状になった爪が比較的爪の先端で軽度の場合
②テーピング法のよい適応
食い込んでいる爪の際の皮膚の盛り上がりが軽度
深爪をしてしまい、今後伸びた爪が皮膚に刺さるリスクがある場合の予防
③綿球法とテーピング法併用のよい適応
①②をともに満たす場合
このように、綿球法とテーピング法は軽度の陥入爪に有効で、医師でなくとも施術できますので、軽症のうちにまずは検討したい治療法です。
2,陥入爪のおすすめ治療② 棘状になった爪の切除
棘状になった爪を外科用の剪刀などを使用して切りとる治療です。
刺さった爪を確実に除去できるため、深いところに生じた難治性の陥入爪に有効です。
ただ、確実に刺さった爪を除去できますが、切り方を誤ると再び棘状の爪を形成することがあります(詳細は下記施術のポイント参照)。
尚、この施術は局所麻酔が必要となりますので、基本的に医師による治療となります。


棘状になった爪の切削のメリット・デメリットです。
メリット
・適切に切ることができれば効果が高い
・棘状になった爪が深い場所にあっても改善することができる
デメリット
・局所麻酔が必要であり、痛みを伴う
・切り方によっては再発する(下記施術のポイント参照)
では、実際の施術をみてみましょう。
動画で見ると痛々しいですが、以下のポイントを抑えると痛みも最小限に効果の高い施術ができます。
施術のポイント
1 局所麻酔はエピネフリンフリーを使用。伝達麻酔でもよいが、個人的には直接切る部位に根元から末梢に向けて局所麻酔している。注射針は27Gより細い針を使用してゆっくり注入すれば耐えられる痛み
2 無鉤の鑷子を刺さっている爪の下に入れて、根元に進み爪を持ち上げて、棘状になった爪の部位と程度を確認する
3 爪は第1関節付近まで存在するため、十分に深くまで一直線に切削することが大切
※①中途半端に切ると再び伸びた爪が刺さるリスク(下イラスト参照)
※②角度をつけすぎて切ると切った所の皮膚が広範囲に盛り上がり、爪が伸びた際に刺さりやすくなる
4 切削後、抗生剤含有軟膏を塗りガーゼ保護(浸出液のガーゼ汚染がなくなるまで継続)
5 創部が閉鎖した後、可能であればテーピングテープで切削した皮膚を押し下げる(切削した爪が皮膚先端に伸びるまで継続)


このように、押さえるべきポイントはいくつかありますが、慣れれば効果の高い施術です。
爪の切除よい適応
・爪棘が爪の根元に至っている(綿球法 and/or テーピング法では改善が難しいケース)
・爪の際の皮膚の盛り上がりがそれほど著明ではない


ちなみに盛り上がった皮膚というのは上写真のような状態です。
皮膚の盛り上がりが強く、棘爪が皮膚の中にめり込んでいると、爪を切削しても伸びた爪が再び皮膚に刺さりやすいため後述するガター法がより有効と考えられます。
3,陥入爪のおすすめ治療③ ガター法
おすすめの陥入爪治療法、最後はガター法です。
ガター法とは爪と皮膚の間にチューブを差し込み、チューブで爪の先を保護することで食い込みを防ぐ方法です。
チューブを陥入した爪の下に入れることで爪が皮膚に食い込むことと、爪のの皮膚を押さえることができます。


ガター法のメリット・デメリットです。
メリット
・特別な器具は必要なく施術でき、施術後速やかに痛みが軽くなる
・チューブにより爪の際の皮膚を押し下げるため、爪周囲の皮膚が盛り上がっていても有効
・基本的にはテーピングなどの定期的なケアがいらない
デメリット
・局所麻酔が必要であり、痛みを伴う
・チューブが外れやすい(外れると再度爪が刺さり再発することがある)
・閉塞性動脈硬化症などで血流が悪いと、チューブの刺激で潰瘍化する可能性
・さらに、糖尿病などで免疫力が低下していると、潰瘍から感染を合併するリスク
特にデメリット最後の2つは要注意です。
血流が悪いと潰瘍が治らなくなる可能性があります。
さらに免疫力が低下した患者さんに、潰瘍からの2次感染を合併すれば、時に骨髄炎を生じ最悪、切断などのリスクも可能性がない訳ではありません。
足先の血流が悪い患者さんや、免疫力が低下した患者さんでは、別の治療法を選択(上記の爪切削など)したほうが無難な可能性があります。
では、実際の施術をみてみましょう。
動画で見ると簡単そうに見えますが、施術してみると意外にチューブを入れるのにコツがいります。 以下のポイントを抑えると痛みも最小限に効果の高い施術ができます。
施術のポイント
1 局所麻酔はエピネフリンフリーを使用。伝達麻酔は効果が不定のため、直接切る部位を根元から末梢に向けて局所麻酔。注射針は27Gより細い針を使用してゆっくり注入すれば耐えられる痛み
2 肉芽腫などある場合はチューブが入れにくいため、あらかじめ無鉤の攝子などで除去する(多くの場合つまみとれる)
3 無鉤の鑷子を刺さっている爪の下に入れて、根元に進める。チューブが入りやすいように十分に根元まで浮かせないとチューブが入らない
4 アロンアルフアで固定する際、周囲の皮膚にくっつくと剝がれなくなるため要注意(ハサミや攝子についたアロンアルフアもすぐ除去しないとその後が大変)
4 じくじくした部分があれば、ゲンタシンやカデックスなどを塗布しガーゼ保護を、浸出液のガーゼ汚染がなくなるまで継続
このように、いくつかの注意点はありますが、決して難しい手技ではなく治療効果も高いです。尚、施術後チューブが外れることも少なくないです。その際、明らかにまだ爪が皮膚に食い込んでいれば再度挿入しますが、一度チューブを入れることで爪が持ち上がって刺さりにくくなるため、爪の刺さりが緩和されていれば、再挿入は行わないこともあります(その際、皮膚の盛り上がりがあればテーピングを行います)。
尚、挿入したチューブは爪が伸びた際に爪と一緒にニッパーなどで切削します。
ガター法のよい適応
・爪棘が爪の根元に至っている(綿球法 and/or テーピング法では改善が難しいケース)
・爪の際の皮膚が著明に盛り上がっている(爪の切削では改善が難しいケース)
まとめ
以上、陥入爪のおすすめ治療法3選、お話してきました。
これだけではどれを選んでよいか分かりにくいと思われた方のために、以下にフローチャートを作成しました。
※あくまでも個人的な考えであることをご了承ください。
また、前述のとおり、虚血があったり糖尿病などで易感染性の患者さんに対するガター法は、チューブの圧迫による新たな創の発生や感染のリスクがあることを考慮した上で治療方針をご検討ください。

