まもりさん
下痢が続いて、お尻がただれて困っています。
おむつかぶれでは原因をつきとめることが第一ですね!
排泄物の刺激だったり、蒸れだったり、カビだったり…
カビを調べられない医療機関も少なくないですし、困ってしまいますね
そうですよね。培養が選択肢ですが、できないこともありますね。
では、今回は、そんな状況でも対策するための治療方針を考えてみましょう!
ということで、今回は陰部~臀部の肌荒れについてお話ししたいと思います。
特に下痢が続くなどにより、びらん(皮膚のただれ)が悪化すると、患者さんは強い痛みを訴えてQOLを大きく損なうことがあります。
ただ、下痢などが続く場合、ワセリンなどで保護しても排せつ物から皮膚を十分に守ることは難しく、対応が難しいことが少なくありません。
そのため、速やかな対応が必要ですが、ここで困ったことがあります。
それは、お尻の皮疹は、少なからず真菌症による皮疹の可能性があるのです。真菌症の場合、ワセリンを塗って保護しても改善しなことが多く、さらに、湿疹と考えステロイド外用剤を塗布すると悪化してしまうのです。
そして、さらに困ったとこがあります。それは…
陰部の皮疹は湿疹(排泄物や蒸れなどによる)か真菌症(水虫、カンジダ)で治療方針は大きく異なりますが、見た目だけで真菌(カビ)かそれ以外かを判断することはできない!
ということです。実際、私も長年皮膚科医を続ければ続けるほど、カビかそれ以外かを見た目で判断することは不可能なことを痛感し、少しでもかさつきがあったら、カビの検査をして診断しています(かさつきを採取して顕微鏡でチェック)。
では、そのような検査ができない場合どうしたらよいでしょう?
※ここからは、正解はなく、あくまでも個人的な考えになりますことをご了承ください
個人的には、本題とは少しずれてしまいますが、日頃から陰部や臀部の皮膚トラブルが起こらないように予防することが大切だと考えています。予防をすることで、実際やっかいな皮膚トラブルを最小限に抑えられますし、治療法も比較的シンプルになります。
では、始めに陰部や臀部の皮膚トラブルが起こりにくくなる対策法についてお話しします。
目次
1 陰部~臀部のトラブル予防法
陰部~臀部の皮膚トラブルの予防法は、大きく以下の2つの方法があると考えています。
陰部~臀部の皮膚トラブルの予防法
1 日常的に真菌を抑える洗浄剤を使用する
2 尿汚染が多い、軟便~下痢が続き肌荒れリスクがある場合は、高吸収の失禁パッドや皮膚保護材を使用する
では、それぞれについてもう少し詳しくお話しします。
1-1 日常的に真菌を抑える洗浄剤を使用する
陰部~臀部の皮膚トラブルの対策法一つ目は、真菌を抑える洗浄剤の使用です。以下の写真にお示しします、コラージュフルフル泡石鹸®が代表的です。
1日1回陰部~臀部を泡洗浄することで、カビ(白癬やカンジダ)の増殖をある程度予防することができます。洗浄剤で洗浄しすぎると逆に皮膚のバリアが壊れて荒れやすくなりますので、1日1回にとどめ、それ以外のおむつ交換ではぬるま湯で洗浄するのみにとどめることをお勧めします。
ここで、コラージュフルフルを使えば治療にもなるのでは、と考えられる方もおられるかと思いますが、コラージュフルフルは予防が目的であって、実際に発症した真菌症を治すのは厳しい、と考えられています。あくまでもコラージュフルフルは化粧品のカテゴリーですので、治療に有効な濃度を入れることは難しいんですね。
ただ、連日使用し予防することで、実際に肌荒れを生じた際に、”コラージュフルフルを使用していたので、カビの可能性はより低くなっている”、ということは、その後の治療方針を考える上でアドバンテージになると思います。
1-2 尿汚染が多い、軟便~下痢が続き肌荒れリスクがある場合は、高吸収の失禁パッドや皮膚保護材を使用する
陰部~臀部の皮膚トラブルとして、尿や軟便などによる皮膚炎の頻度は決して少なくありません。特に感染尿や下痢便はアルカリ性であることが多く、弱酸性の皮膚にとっては天敵です。
そのため、尿量が多い、軟便が続く、などの症状がありましたら、皮膚に付着しないように失禁パッドに吸収させる、皮膚保護材を使用して皮膚を保護するなどの対策が必須です。
特に、尿量が多い、下痢便が続くなどの状況で始めにおすすめなのが、高吸収の尿取りパッドの使用とワセリン塗布です。
ただ、高吸収の尿取りパッドをうたう商品は少なくなく、私も知識に乏しいため、おすすめ商品について、可能でしたら皮膚排泄ケア認定看護師に確認していただくことをお勧めします。
ワセリンの使用は保険適応なため安価に使用することができます。
ただ、ワセリンはべたつきが気になったり、比較的とれやすく、1日複数回(おむつ交換の都度)塗り足す、などの対応が必要になります。
それらが気になる場合は、保険適応ではありませんが、臀部~陰部の皮膚トラブルに対応した皮膚保護材が各社から販売されています。
これは一例で、皮膚保護剤は多くの種類がありますので、どれを選んでよいか悩んでしまいます…
ですので、それぞれの特徴についてまとめてみました。
では、これらの特徴を踏まえどのように使い分ければよいのか考えてみましょう。
皮膚保護材の使い分け(私見)
1 べたつきは気にならず塗る回数やコストを抑えたい:セキューラPO
2 べたつきが気になり塗る回数も減らしたい:リモイスバリア
3 べたつきが気になる+塗ったところにテープを貼りたい:キャビロンポリマーコーティングクリーム
これは、一案ですので、様々試してよりよい選択法を検討してみてください。
さらに、もう一つ注意点があります。
それは、皮膚保護剤は、化粧品のカテゴリーであり、実際に赤みやかさつき・じくじくなどの炎症を生じているところには基本的には使用できない、ということです。保護材を使用しても肌荒れが悪化した場合は別の対応法を考えないといけません。
では、ここからは実際に皮膚のトラブルを生じた際の対策法を考えてみましょう!
対処法について、軽度(赤みやかさつきはあるがびらんは小範囲)の場合と、重度(広範囲にびらんを伴う)の場合に分けて考えるとわかりやすいため、皮疹の状態で分けてお話しします。
2. 軽度のオムツかぶれへの対処方法
軽いオムツかぶれは、下の写真のように、赤みやかさつきはあっても軽度で、じくじくしたびらんは小範囲の状態です(下の写真参照)。
このような場合は、以下のポイントをチェックして 塗り薬を選ぶことをお勧めします。
2-1 下痢が続く、多尿など排せつ物による刺激が続く場合の対処法
排せつ物による刺激が続く場合、まず行うべきは、皮膚を排せつ物の刺激から守る!、ということです。
ただ、難しいのはおむつかぶれなどでおなじみの亜鉛華軟膏やワセリンなどは、比較的すぐとれてしまうため、排せつ物に長期に触れてしまう場合は十分な対策にはなりにくいです。
では、どのように対策すればよいか、おすすめは3M社から販売されているキャビロン®非アルコール性被膜です。
このキャビロン非アルコール性被膜を排せつ物が付着しそうな範囲に塗ることで、その名の通り皮膚の表面に膜がつくられるのです。その膜がバリアとなって排せつ物が皮膚に付着するのを防いでくれるのです。
実はキャビロン非アルコール性被膜には、上の写真のような3ml含有のスティックタイプのほかに、1ml含有のスティックタイプやスプレータイプもあります。
ただ、おむつかぶれは広範囲ですし、的確に肛門周囲まで塗ることを考えますと、3ml含有のスティックタイプの使用をおすすめします。それは(1ml含有のスティックタイプはストマや胃瘻部周囲などの小範囲の皮膚トラブル予防によいと思います)。
そんなおすすめなキャビロンですがいくつかの注意点がありますので、ご紹介します。
キャビロン非アルコール性被膜(スティックタイプ 3ml)のメリット・デメリット
〇メリット
・予防効果が高い
・1日1回の塗るだけで処置の負担が少ない
・1本200円ほどとそれほど高額ではない
・おむつかぶれ以外にもストマや気切・胃瘻部周囲の肌荒れ予防、夏場の股部や女性の胸下など擦れる部位の肌荒れ予防などにも有効な可能性がある(ただ、長期使用でコストがかさむ)
〇デメリット
・保険適応がない(全額自費)
・毎日塗る必要がある
このようにキャビロンは比較的安価でありながら、予防効果も優れています。ただ、保険適応はないため、長期に下痢が続く場合などは、負担額はばかになりません。
では、次にキャビロン非アルコール性被膜を実際にどのように使用すればよいのかについてお話しします。
キャビロン非アルコール性被膜の使用上のポイント
1 あくまでも予防として使用し、広範囲のびらんなどを伴う場合はびらん面には十分な膜が作られにくいため不向き(広範囲のびらんを伴う場合は、以下の”重度おむつかぶれの対処法”を参照)
2 排せつ物をきれいに除去した後に、1日1回便などの排せつ物が皮膚に付着しやすい範囲を全て覆えるように塗布(コスト削減のため、肌荒れの悪化がなければ1日おきなど間隔を空けてもよいかも(私案))
3 キャビロンが入った袋を開けるとスポンジに含まれた液が数分で固まってしまうため、開封後は速やかに塗る
4 上記対策を排せつ物の刺激がおさまるまで継続する
まとめますと、下痢が続くなど皮膚への刺激が長期に及ぶ場合、まずは皮膚を保護することが大切です。
では、以下ポイント2以降では、下痢が続くなどの排せつ物の影響は少ないにもかかわらず、臀部~陰部が荒れてしまった場合の対策法についてお話しします。
2-1 下痢や多尿はないのに肌荒れがみられる場合の対処法
下痢や多尿などの排泄物はないのに肌荒れが続く場合は、真菌症と湿疹などの可能性を考え、どちらがより疑われるか、で治療法を変えます。そのポイントは以下のようになります。
下痢や多尿はない臀部の皮膚トラブルへの対処法(私案)
① 赤みのある辺縁にかさつきや膿疱(小さな膿)を伴う
→真菌症を疑う
② 赤みや小範囲のびらんがあるが、周囲にかさつきや膿疱(小さい膿)はない
→湿疹を疑う
③ 赤みはないがかさつきがある
→蒸れなどによる皮疹を疑う
では、それぞれの対処法について、ここからお示しします。
① 赤みのある辺縁にかさつきや膿疱(小さな膿)を伴う場合の対処法
オムツかぶれでは、排泄物の刺激で、しばしば周囲に赤みを伴います。その赤みのあるところの辺縁に小さい膿やびらんが散在していたら(上の写真の矢印)、カンジダ症など真菌(いわゆるカビ)の感染を始めに考えます。 その際、抗真菌外用剤を使用するのですが、治療にあたり4つの注意点があり、対策法も併せてお伝えします。
抗真菌外用剤の使用上の4つの注意点と対策法
1 カンジダ菌に対して抗真菌剤としてよく使われるラミシール®はほぼ無効
対策:ルリコン®などのイミダゾール系抗真菌剤を使用
2 びらんを伴いジクジクしている場合は、クリームやローションでは“刺激性皮膚炎”を生じる可能性がある
対策:軟膏基剤の外用剤を使用
3 塗り薬を塗ってすぐには真菌症は改善しない
対策:少なくとも4週間塗布し改善するかを評価(1~2週間塗布し悪化するようならステロイド外用剤など別の治療法を検討)
4 抗真菌外用剤は数%でかぶれる
対策:塗れば塗るほど赤みが増す場合は中止し、赤みやかゆみがひどい場合はステロイド外用剤を赤みやかゆみが落ち着くまで使用
もし、このように適切に抗真菌外用剤を使用しても、皮疹が改善しない場合、特に膿が増加している場合は細菌感染の可能性があります。その際にはアクアチム軟膏などの抗生剤を含む塗り薬に切り替えて1週間ほど使用して改善するかを確認することをお勧めします。
膿は改善しましたが、赤みやかゆみがあるようでしたら、以下のポイント2のような対策法を検討してみてください。
② 赤みや小範囲のびらんがあるが、周囲にかさつきや膿疱(小さい膿)は無い場合の対処法
赤みやびらんがあっても、赤みの辺縁にかさつきや膿疱がない場合は、第一に排泄物による刺激性皮膚炎の可能性を考えます。
その場合の対処法について以下にお示しします。
かさつきや膿のない軽度の赤みやびらんに対する対処法
1 赤みのみでじくじくはない場合:マイザー軟膏などのvery strongクラスのステロイド外用剤をおむつ交換の都度塗布
※長期に塗り続けると皮膚が薄くなったり真菌症になることがあるため、赤みがある程度落ち着いたらワセリン塗布などに変更(1週間塗って改善なければ中止を検討)
2 赤みと軽度のじくじくがある場合:ステロイド外用剤と亜鉛華軟膏(亜鉛華単軟膏ではない)の1:1の混合外用剤をおむつ交換の都度塗布
※亜鉛華軟膏は洗浄で剥がれにくいことがありますが、オムツ交換での洗浄で無理に剥がさず、剥がれた分を塗り足す
亜鉛華軟膏を使用する際は上の写真のように皮膚がみえなくなるくらいたっぷり塗ると改善しやすいです。
ちなみに亜鉛華軟膏はびらん部の水分を吸収しじくじくを改善しやすくしますが、亜鉛華単軟膏は水分を吸収する力が弱く、じくじくした皮疹には向かないと考えられています。
2週間ほど続けても 改善しない or 悪化する ようでしたら、真菌感染などの湿疹以外の可能性がありますので、皮膚科医への相談を検討してください。
③ 赤みやびらんはほとんど無く、かさつきが主体の場合の対処法
このような場合は基本的に、排せつ物や蒸れなどの影響による皮膚バリア破壊による皮疹の可能性を考えます。
オムツ交換の都度、ワセリンをたっぷり塗る対応を行うとよいと思います。
ただ、やはり2週間ほど経っても 改善しない or 悪化傾向 があるようでしたらポイント1~3の方法への変更を検討or皮膚科医に相談してください。
3. 重度(広範囲にびらんを伴う)オムツかぶれの対処方法
次に、この患者さんのように、びらんを広範囲にみとめ、さらに下痢などの皮膚への刺激が続いている患者さんへの対応法について考えてみましょう。
このような患者さん、先程使用しました、ワセリンや亜鉛華軟膏などの塗り薬は患部に留まらないため、治療に困ることが多いです。
そこで、少し前までは、亜鉛華単軟膏 80g + カルメロース 20g の混合外用剤 をお勧めしていましたが、亜鉛華単軟膏が製造中止になり、使用ができなくなってしまいました…
そこで、おすすめなのが3Mから発売されているキャビロン 接着性耐久被膜剤®です。
キャビロンは先ほども排せつ物に対する肌荒れ予防として非アルコール性被膜が登場しました。
では、このキャビロン接着性被膜剤は非アルコール性被膜とどのような違いがあるのか、どのようにして使用すればよいのか?、についてお話しします。
3-1 キャビロン 接着性耐久被膜剤の特徴
キャビロン 接着性耐久被膜剤の特徴は上の写真のようにスティックにレバーがついています。このレバーを押すとスティック内のアンプルが割れ、下面のスポンジに液が浸みこんできます。
このアンプル内には、キャビロン アルコール性被膜とは異なり、シアノアクリレートという成分が含まれています。
シアノアクリレートというのは、人工爪の接着剤、医療用でも下肢静脈瘤や食道静脈瘤の静脈塞栓としての接着剤として、意外と身近に使用されている成分です。
では、このキャビロン 接着性耐久被膜剤にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
キャビロン 接着性耐久被膜剤のメリット・デメリット
〇メリット
・びらん面にも使える
・非アルコール性被膜に比べて耐久性が高く、週1~3回塗るだけでよい
〇デメリット
・1本1.000円強し高額
・保険適応はない
・かぶれる可能性がある
キャビロン 接着性耐久被膜剤は浸出液を抑える作用があり、びらん面にも使用が可能であることが最大の特徴だと思います。
通常ワセリンや亜鉛華軟膏を塗ってもびらん部にははじいてしまうため、びらん対策は非常に手を焼く現状がありました。この問題を解決してくれるのは医療従事者として非常に助かります。
では、実際の使用方法についてお話しします。
キャビロン 接着性耐久被膜剤の使用方法
1 皮膚に付着した排せつ物を除去し、洗浄したうえで十分に乾かす(塗布範囲の毛が濃い場合は剃毛を行う)
2 スティックのレバーを押しアンプルを割ると、10秒ほどでスポンジ内に液が染み渡る
3排せつ物が皮膚に付着する範囲に塗る(塗った部位の皮膚が重なっていると皮膚同士がくっついてしまうため、皮膚を伸ばしてしわがない状態にして塗る)
4 塗った後乾くまで30秒ほどそのままにする
5 週1~3回追加塗布(追加塗布の目安はびらん部に痛みを生じたり、被膜の光沢感がなくなってきたら)
キャビロン 接着性耐久被膜剤は決して安くはありませんが、冒頭にお話ししましたように、排せつ物によるびらんによる強い痛みでQOLが低下した患者さんの救世主となりうる有用な選択肢と考えています。
では、最後に、先ほどお話ししましたが、現在は製造中止のため使用困難ではありますが、保険適応で使用できる貴重なびらん部対策となる外用剤である亜鉛華単軟膏+カルメロース(またはプロケアパウダー)について、今後出荷再開された場合のために、その使用法についてお伝えします。
3-2 亜鉛華単軟膏+カルメロース(またはプロケアパウダー)の混合外用剤 の使い方
先ほどお話ししましたように亜鉛華単軟膏の製造中止により現在は使用ができませんが、亜鉛華単軟膏とカルメロースの混合外用剤は比較的安価に使用できますので、今後再度製造再開されることがありましたら、ご検討ください。
レシピは以下のようです。
亜鉛華単軟膏 80g + カルメロース 20g の混合外用剤
この2種類の外用剤を混合することで、慢性的な排泄物の刺激で生じたびらん部にも、ある程度とどまり、排泄物の刺激を皮膚から守るバリアとなるような塗り薬を作ることができます。
この混合外用剤を、排せつ物が付着する範囲よりやや広めに、下の写真のように 皮膚が見えなくなるくらいたっぷり塗ることがポイントです。
では、もう少し詳しく「亜鉛華でんぷんの使い方の手順」を説明します
STEP
オムツ交換の際に、泡洗浄する
オムツ交換などの際に、泡洗浄を塗り薬の上から行ってください。この時、すでに塗ってあるぬり薬を完全に取ろうとすると皮膚ごとめくれる可能性がありますので、無理に剥がさないでください。
STEP
洗浄で剥がれたところに、ぬり薬を塗り足す
STEP1で剥がれたところに ぬり薬を塗り足します。先程 お話ししましたように、皮膚が見えなくなるくらい たっぷり塗ることがポイントです。
軟便が治まり、皮膚のジクジクが改善するまで、この外用剤の使用を繰り返します。 では 実際、かなり肛門周囲が ただれてしまった患者さんに、どのように塗っているのか見てみましょう。
最終的には、上の写真くらいまで塗ることができました。これで 患者さんの皮膚は、排泄物の刺激から かなり守られると思います。
まとめ
このように、陰部~臀部の肌荒れは、排泄物による湿疹や真菌症など様々な原因で生じます。
それぞれで治療法は大きく異なる上、見た目ではわからないことも多いです。そのため、2週間ほど治療しても改善しない場合は皮膚科医にご相談いただくことをお勧めします。
また、激しい下痢が続くなどで皮膚がひどく荒れた場合は、まず、皮膚を保護することが最優先となります。
対策として、キャビロン®などを使いこなすことで、皮膚を排泄物から保護することができます。
皮膚のびらんは痛みを生じ、患者さんのQOLを大きく損ないますので、少しでも苦しみから解放できるように、この内容がお役立ていただければ幸いです。